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核シェルター

核シェルター

 

4/26ロイターによると<日本で核シェルターの需要増、北朝鮮情勢の緊迫化で>という。「日本では核シェルターや放射性物質を排除する空気清浄機の売り上げが急増している」、そうだ。面白いのは、シェルター本体はスイスの住宅用シェルターをモデルとするか、空気清浄機はスイス製を輸入している点だ。

スイスは「武装永久中立」国だが、常備軍は少なく、市民は武装民兵として通常の生産活動に携わっている。「いざ鎌倉!」という時は直ちに戦力が増強される。それだけに住宅における核シェルターが不可欠となる。

私が1980年頃訪れたのは、スイス・バーゼルのコンクリート製2階建タウンハウスだった。地上から見える1・2階は普通の住宅とまったく変わりがなかったが、地下室が核シェルターになっていて、水・食糧が備蓄されていた。

当時は「空気清浄機」の説明を聞いていないので、まだなかったのであろう。その後のサリンやVXといった毒ガスの登場を見れば、空気浄化装置が必要になるのは当然だろう。

 

4/24ロイターによると、<核シェルターの設計・施行などを行う織部精機製作所(兵庫県神戸市)は、通常の年間注文数が6件程度であるのに対し、今年は4月だけで8件の注文があったという。>と、日本で家庭用核シェルターの需要が急増しているようだ。

http://jp.reuters.com/article/jp-nuclear-shelter-nk-idJPKBN17S05J

この会社でも空気浄化装置はスイスから輸入している。

 

約40年前にすでにスイスの核シェルターは完備していた。その後開発されたのが、放射能・毒ガスを除去する空気浄化装置だ。「生兵法(なまびょうほう)は怪我の下」というが、日立も東芝も日本郵政も、欲に目がくらんでM&Aで海外に打って出て、今や屋台骨が揺らいでいる。

どうしてスイスのように他国に打って出ず、国民の福祉と安寧に貢献するような経営ができなかったのかと思う。アメリカの郵便事業はとっくの昔に民営化されている。

 

4/25「日経」が2018/3卒業予定の、大学生・大学院生約4万2000人の調査による「企業人気ランキング」を文系と理系に分けて掲載している。興味深いのは文系、理系共に上位10位以内に、上記3社が入っていないことだ。かろうじて日立が「理系14位」、日本郵政が「文系21位」に入っている。日立と三菱も原発を多く作っている(島根原発の原子炉2基は日立製、伊方原発の2基は三菱製)のだが、やはり東芝は福島第一原発の事故が響いているようだ。

若い優秀な人材が集まらなくなった会社はやがて自滅するだろう。

 

話を核シェルターに戻す。「放射線防御耐火レンガ」を造っている会社があるが、まずスイスの核シェルターと空気浄化装置の実際を見学すべきだろうと思う。