一遍と今をあるく

哲学カフェ一遍

大学ランキング:日本

 

「週刊毎日」に続いて「週刊朝日」まで、有名大学進学者数を報じている。受験で面接を導入しても、予備校で面接の際のテクニックまで教えるから、本当に医師としての素質があるかどうかは、分からない。本当は東大医学部入学者の無留年卒業率と医師国試合格率を報じるべきだ。朝日も毎日もかつては「学歴主義」に反対していた。その結果、はびこったのは学歴ロンダリングだ。より下位の大学を卒業し、大学院だけ有名大学に入学し、博士論文を書くというものだ。

私もかつて村に保育所を開設するのに、母がお世話になった女性県会議員から裏口入学の懇願を受け、困りはてたことがある。右翼も左翼も、政治家というのは、体質は変わらないなと思った。広島大医学部に裏口入試で入れるわけがない。というのも、その前に広島大では、刑務所で印刷していた試験問題の漏洩事件がおこり、学長が辞任している。今は、広島大の入試問題はどこで印刷しているか、最高機密になっている。

そこで「大学院の定員はゆとりがあるので、正々堂々と受かる医大なり医学部に入学し、医師免許を取得した後に、広島大の大学院に進めばよいでしょう」とアドバイスしたことがある。

これでも最終学歴は「広島大学大学院医学研究科卒、医学博士」となる。

もっとも4年間で学位論文を書けないと、いわゆる「論文博士」となる。その場合は「大学院単位取得後修了、医学博士」となる。

考えてみれば、このアドバイスは「学歴ロンダリング」のはしりだったかも知れない。この話の結末を私は知らない。

私は広島大医学部が40人定員時の入学生で、「60年安保闘争」のため、教養部で1年留年したので入学時と卒業時の同期生が倍の80人いる。初期の段階で頭がおかしくなり、退学したり、検査会社を起こしたりした学生がいる。自己愛がつよく対人関係が上手く保てない女医もいた。行方不明のものもいる。

出典を示せないが、東大医学部入学者のうち、精神病を発症する学生の率は異常に高い、という報道を読んだ記憶がある。

3/30「朝日」の記事によると、

<英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」は30日、初の「世界大学ランキング日本版」を発表した。1位は東京大、2位東北大、3位京都大と、国立の旧帝国大が上位に並んだ。>

という。他紙も同様な記事を載せている。

http://www.asahi.com/articles/ASK3Z45X8K3ZUTIL00W.html

それによると11位が慶応大学、12位が広島大学、13位が神戸大学となっている。10位が早稲田大で、後は旧帝大と東工大など専門特化した国立大だ。

広島大は「イグ・ノーベル賞」を何度か受賞しているが、本物のノーベル賞はいつもらえるのだろう…

臓器移植の話に戻ろう。ローマでの国際ドナー提供会議で、ドイツ・ハイデルベルグ大学のオペルツ教授(移植免疫学、後に世界移植学会会長)に会ったら、「日本は最初の心臓移植が殺人だったから、移植医療が進まないのだろう」とずばり言われた。私は本音での会話が好きだから、よくぞ言ってくれたと感謝している。それが日本の移植医療の国際的評価なのだ。

ジャレド・ダイアモンド氏

修復腎移植についても、ドイツ・エッセンでの国際学会で、カリフォルニア大医学部サンフランシスコ校の移植外科アッシャー教授から「日本の医者は内心でのパターナリズム(患者に治療法の選択をさせないこと)を捨て切れていないのではないか」と聞かれた。オプションの提供やセカンド・オピニオンの自由がないことだ。同校の生理学教授には人気作家のジャレド・ダイアモンドがいる。「私は彼のファンでほとんどの作品を読んでいる」と言ったらとても喜んだ。

女性らしい素敵な感性の持ち主だった。

日本の医者はがん治療についてパターナリズムを捨て切れていないから、東京の近藤誠さんの「セカンドオピニオン外来」は大繁盛している。彼の奥さんは病理医だ。