一遍と今をあるく

哲学カフェ一遍

トランプとメイフラワー

 1620年、英国教会の異端派ピルグリム・ファーザースに共鳴する信徒102人がメイフラワー号に乗船して南イングランド・プリマス港を出帆し、米ニューイングランド・プリマス港に上陸した。英国から米国への最初の移民である。いわば本国の宗教的弾圧からの「難民集団」である。

 

ところが移民たちは新大陸での農耕経験がなく、たちまち食糧難に陥り半数が餓死した。この時彼らに食糧を供給し、農耕方法を教えたのが先住民のアメリカ・インデアンである。

1621年秋には最初の収穫があり、

生命を救ってくれたワンパノアグ族とその酋長を招待して、祝宴を開いた。これが「感謝祭(サンクス・ギヴィング・デー)」の起源とされている。ニューイングランドは米国発祥の地であり、あの時、移民たちが「入国禁止」措置を受けていたら、今日の「アメリカ合衆国」はなかった。

 

その後のアメリカがアフリカから黒人奴隷を輸入することで南部の綿花プランテーションを開発し、豊かな中西部でインディアンを追放・殺戮することにより、白人の農地を拡大したことは少しでもアメリカ史をかじったものなら、誰でも知っているだろう。

 

元もと「移民の国」なのに米新大統領ドナルド・トランプがやり始めた「難民受け容れ制限」は、アメリカ史に対する無知の産物としか言いようがない。近現代の世界史には、ヒトラー、スターリン、毛沢東、ポル・ポトといった無知な独裁者が出現したが、トランプもそれに匹敵するだろう。

記憶に間違いがなければ、彼らの共通点は「海外留学経験」がなく、自国語しか話せないという点だ。

トランプ政権が100日間続くかどうか怪しいが、独裁者は権力維持のために、意図的に「危機を煽り敵対感情を生みだす」という手法を用いるものだ。日本は卑屈にならず言うべきことは率直にいうという外交方針を貫いて欲しいものだ。アメリカの大衆もやがてそういう日本を支持するようになるだろう。