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病気腎移植が先進医療の審査へ(愛媛新聞から転載)

向田さん

向田陽二理事長

宇和島徳洲会病院が再申請・厚労省受理の方針

腎臓がんなどの患者から摘出した腎臓を腎不全患者に移植する「病気腎(修復腎)移植」について、厚生労働省は14日(平成28年4月)までに、先進医療の適用を求める宇和島徳洲会病院(宇和島市)の再申請を受理する方針を固めた。6月にも同省部会で有効性や安全性などを審査する。

入院・投薬などに保険適用

病気腎移植は臨床研究としての実施は認められているが、保険は適用されていない。先進医療に指定され経過ると、治療費のうち、手術を除く入院、投薬などの費用に保険が適用される。病院側は臓器提供者不足が解決できると主張しているが、日本移植学会はがん再発のリスクを指摘し、安全性は認められていないとの見解を示してきた。

がんの再発はない

病院側は2011年10月に先進医療への申請をしたが、厚労省の専門家会議は12年8月、手術後の健康状態のデータが不十分などとして認めなかった。

 

徳洲会グループはその後、10例の手術の経過をまとめ「がんの再発はない」とする論文を海外の専門誌に発表するなど、再申請に向けて準備を進めていた。

 

 

野村さん

野村正良会長

患者団体は喜びと期待

2012年8月に病気腎(修復腎)移植の先進医療への適用が不承認と判断されて以降も、臨床研究を続けながら厚生労働省と折衝を重ねてきた宇和島徳洲会病院。厚労省が再申請を受理する方針を固めたことを受け、患者団体は14日、喜びの声を上げ、臨床研究に携わる同病院の万波誠医師(75)は冷静に受け止めた。

同移植を推進するNPO法人「移植への理解を求める会」(松山市)の向田陽二理事長(58)は「待望の知らせ。苦しむ人を一日でも早く救うため、患者の気持ちに寄り添い、今度こそ承認してもらいたい」と期待。年間2万人の透析患者が死亡しているという現状に触れ「全国からまだかまだかという声を聞く。命を助けられる医療がある以上、否定するだけでなく一つずつクリアして実現に向かってほしい」と力を込めた。

万波医師

万波医師

えひめ移植者の会の野村正良会長(67)は「先進医療への申請が移植再開の第一歩」と安堵(あんど)。米国では治療で摘出した臓器の移植が進んでいると指摘し「患者を第一に考え、国内でも前向きな努力が進むよう願う。審議を見守りたい」と述べた。

万波医師は「患者さんのためにも早く保険適用されたらいいという思いだけ。修復腎は今まで行ってきた医療の延長上にあり、とてつもないことでも何でもない」と話した。