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ヒキガエルを食って死亡

ヒキガエルを食って死亡

 

4/22「朝鮮日報」が珍しい記事を載せていた。韓国・錦江の最上流にある大田(チジョン)市で、ウシガエルと間違えてガマガエルを食った男性がガマ毒により死亡したという事件だ。何と料理店に自分でカエルを持ち込み、調理して店の人と一緒に食ったという。素人に調理させるとは、衛生管理がなっていないな。韓国人が犬や猫を食うことは知っていたが、まさかカエルまで食うとは知らなかった。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/04/22/2017042200491.html

 

日本のウシガエルは食用として米国から輸入された(1918)ものが逃げ出して、野生化し全国の低地の湖沼・水田に広まった。ブラック・バスやヌートリア(川ネズミ)と同様だ。子供の頃、夜間に池や田で鳴く「ブォー、ブォー」という声を聞き、大人に「食用ガエル(ウシガエル)」という名前を聞かされたことがあるが、食ったという話はついぞ聞いたことがない。

アフリカでジンバブエの農林省に勤める獣医さん(英国人)から「ワニの肉はチキンに似ている。ゾウは鼻を輪切りにしたステーキが一番美味い」と聞いたことがある。きっと両生類のウシガエルの後脚も、チキンに似た味がするのだろう。

ウシガエルはここに越してきてから、雨の夜に自宅そばの林の中にいるのを一二度見かけたことがある。鳴いてはいなかった。

ガマガエルはヒキガエルともいう。属名をBufoというが、鳴き声に由来するものではなかろうか。このカエルはわりと頻回に見かける。主に「ニホンヒキガエル」だ。

産卵期に群をなして集まり、メスの争奪戦をするので、古くから「蛙合戦」と呼ばれてきた。小林一茶の「やせ蛙 負けるな一茶 これにあり」という有名な句は、1816年、蛙合戦を見物した後に作られたという(梶島孝雄「資料・日本動物史」八坂書房)。

ヒキガエルは皮膚から白い粘液(いわゆる「ガマの脂」)を分泌する。これに毒があり「ブフォトキシン(bufotoxin)」と総称される。化学的にはステロイドの誘導体で、薬理学的には微量なら強心剤、多量なら心臓毒、呼吸中枢抑制毒として働く。

https://en.wikipedia.org/wiki/Bufotoxin

ヒキガエルの種によっては皮膚だけでなく、唾液腺に毒素が含まれていることがある。その場合、皮を剥いでも毒は除去されない。よって韓国の田舎の飯屋に行って、妙なスープなど飲まないのが安全だろう。