一遍と今をあるく

一遍上人堂通信

『かなしみを あたためあって あるいてゆこう』 心に光を灯す 真民詩の世界

『かなしみを あたためあって あるいてゆこう』

心に光を灯す 真民詩の世界

坂村真民記念館館長 西澤 孝一 著

 

このたび、坂村真民記念館館長 西澤孝一氏が、『かなしみを あたためあって あるいてゆこう』致知出版社 を出されました。

本書の「刊行に寄せて」は、臨済宗円覚寺派管長 横田 南嶺氏が賛辞を寄せられております。以下に一部を抜粋いたします。

 

今、坂村(さかむら)真(しん)民(みん)先生の詩について最も詳しく知っていらっしゃるのは、坂村真民記念館の西澤孝一館長であると思っています。

西澤館長を真民詩について一番詳しい人だと私が思っているのは、西澤館長が真民先生の三女である真美子さんのご主人であることはもちろんのこと、なんといっても、真民先生が詩作の為に残された膨大な七百九十六冊にも及ぶ思索ノート「詩記」をすべて読み込まれた方であるからです。

ですから、それぞれの詩が、いつどのような状況で作られた詩であるかを、尽く熟知していらっしゃるのであります。

その詩について、真民先生が何歳の時に、どんな境遇で作られたかを知ることができれば、なお一層詩の理解が深まるのです。本書の魅力は、西澤館長が、それぞれにその詩の背景を詳しく書いて下さっていることにあります。

(刊行に寄せて より)

 

また、本書の「まえがき」には、以下のようにあります。(抜粋)

本書は、真民が四十二歳の時、参禅を契機として自己を見つめるために書き始めた「思索ノート(日記)」を、私がこれまで読み解いてきた中で、真民詩の背景やその時の真民の「正直な気持ち」を織り交ぜて、真民詩の解説をしようと試みたものです。

どんな小さな花でもいいのです、自分の花を咲かせてみませんか。そのためのヒントを、真民の詩とその生き方から見つけ出してください。

この本が少しでも、みなさんの「生きる力」になれば何よりです。

(まえがき より)

目次

第一章                貧しくとも心はつねに高貴であれ

第二章                小さな花でもいい、自分の花を咲かせよう

第三章                幸せの原点は家族のささやかな幸せにある

第四章                一寸先は闇ではなく、光であることを知ろう

第五章                自分を厳しく鍛え、生涯をかけて磨き続ける

 

ここで、本書に収録されている一つの詩を紹介します。

 

約束

わたしは一遍上人と

約束をした

あなたは南無(なむ)阿弥陀仏(あみだぶつ)

決定(けつじょう)往生(おうじょう)六十万人と書いた

腑算(ふさん)札を配って

日本全国を歩いたが

わたしにはそんなことはできないし

しても今の世の人々は

喜び受け取ってくれそうもないので

詩誌「詩国」を発行して

あなたの御遺志を継いでゆこう

そう思い

あなたの御誕生地にある

宝厳寺にお参りをし

あなたの足に手を触れ

あなたとの命の交流を乞い

新しい出発を始めた

ああこの聖なる約束を果たすため

一年でも一日でも長くいきてゆこう