竹中銅器で制作復興された一遍上人立像が、富山県高岡市からライトバンで陸路、宝厳寺へ搬送された。
今治で一泊した後、上人像は平成28年3月24日午前10時過ぎに無事境内へ到着した。搬送の大役を担ったのは、鉢呂専務と社員の二人である。
予定時刻の前から、一遍上人堂の前には、長岡佳子さんとまどかさんの親娘、島崎有三総代ら宝厳寺の檀家関係者、それに一遍会から小沼大八代表と三好泰治事務局長の皆さんが首を長くして到着を待っていた。
境内では本堂も上人堂も外観の工事は一通り終わり、落慶法要へ向けて内装工事と庭園の整備が進行中であった。
この記念すべき日は朝から快晴で、上人堂の白壁が青い空によく映え、背後の竹林の緑が目に新鮮であった。
ライトバンから降ろされた上人像は、出迎えた檀家の人たちも力添えして、木箱に納められたまま上人堂まで運ばれた。
堂内で木箱から丁重に取り出すと、台座ごとひとまず床に立てられた。それから竹中銅器の皆さんと堂内に特製の厨子(花御堂)を設置した仏具屋さんの手で、慎重に厨子の中に安置された。
厨子は高さ2.8m、横幅と奥行は共に1.44m、台の高さは0.8mである。上人像の台座と厨子の台を相互に二本のボルトでしっかりと結び、一時間ほどかけて立像の安置は終了した。
立像へ掌を合わせ、「お帰りなさい」と長岡佳子さん。
見上げながら、「高岡で拝観したときよりも、さらに磨きがかかった」
と島崎総代。一遍会の皆さんも満足そうに頷かれていた。
ここで竣工が近くなった一遍上人堂について説明する。
高さは7m80㎝、方形で、基礎部分はヨコ10m42㎝、タテ10m35㎝、基礎から60㎝上げて御影石の基壇が造られ、この基壇に床面積がちょうど10坪の上人堂が建てられている。
方形屋根は銅板葺で天辺には珠径45㎝の宝珠が載せられている。参拝の間の入口は檜四枚の引き戸で、床はすべて御影石である。
入ると左右にショーケースが置かれ、ここに精巧に模造された「一遍聖絵」の中の重要な場面が展示される。そして高さ113㎝の上人立像が安置される厨子は、入口の真正面の向かいの壁際に設置されている。堂内には16個の電球色のスポットライトが取り付けられ、上人像を立体的に浮かび上がらせる工夫がされている。
また4台の展示ケースの照明は、3000ケルビンで「聖絵」を鑑賞するのに最適である。