一遍と今をあるく

よもだ俳句と暮らしの点描

船を降りたら俳句の島

12/4(日)、怱那諸島の、トライアスロンで有名な中島を訪ねた。「第15回瀬戸内海俳句大会」の表彰式ならびに「第12回怱那諸島吟行の旅」に参加するためである。

その日の朝、高浜港から中島汽船のフェリーに乗り1時間余りで神浦(こうのうら)港に到着。船を降りたら、あいにくの雨模様でそこからすぐに「吟行の旅」のバスに乗り込んだ。この「吟行の旅」は、私は神浦港からの途中参加のため1時間弱のものだった。しかし、車窓に広がる島々が壮観で、親切なガイドもあって怱那諸島についての知見を深めることができた。ガイドさんの話の中で、怱那諸島には映画やTV番組のロケに使われた島が多数あるというのが初耳だった。とくに、2003年公開の木村佳乃主演の映画「船を降りたら彼女の島」の舞台となった野怱那島の影がうっすら見えたのがうれしくて、別の機会に行ってみたくなった。

表彰式の会場である中島総合文化センターにバスが到着し、何とかひねり出した2句を提出したところでお昼となった。

会場の中島総合文化センターは、これがなかなか立派な施設で、新しくとても綺麗な印象を受ける。入り口には、島の小ぶりなみかんがキャリーケース満杯に置かれ自由に食べることができた。甘いみかんに島の人々のおもてなしの心を感じ取った。中に入ると図書室や会議室、茶室まで備えられている。8角形の斬新なデザインの多目的ホールは約500人のキャパで、様々なイベント等に使われるそうだ。行ってみる価値アリである。

昼食後、時間があったので、すぐ近くの松山北高中島分校に赴く。ガイドさんおすすめの中村草田男の句碑を見るためである。「一度訪ひ二度訪ふ波やきりぎりす」という、彼がこの地を訪れた時に詠んだ句を目にした私は、先程提出した句を返してほしくなったのだった。(笑)

午後から、俳句大会の表彰式が多目的ホールで行われた。

この俳句大会は瀬戸内海の四季を通じた自然の美しい島々の景色や暮らし、行事などを詠むものである。審査員は元NHKアナウンサーの八木健氏、TVでおなじみの夏井いつき氏、山口誓子門下の田島明志氏の3氏である。全国から1千句を超える応募のある催しとなっている。受賞者と客席の面々を見ると、大会の性格のせいか、若者が少ないようで残念だった。せっかく、気軽に俳句・文芸に触れることができるよい機会なので、もっと幅広い年代が参加する大会に育ってほしい。

帰りの大浦港には、待合室に農産物特売店があり、島のみかんや大根などが手頃な値段で買えるようになっていた。とくに島自慢のみかんが松山より半額近くで手に入りお得である。帰松には、高速船を使ったのだが、これだと大浦港~高浜港が約30分で、より中島本島までが近くなる。

あいにくの雨だったが、甘いみかんの島のおもてなしに、一時の憩いを感じるよい1日となった。最後に1句、

雨もよしだいだいはえしみかん島 

(佑)