一遍と今をあるく

ギャラリー

「ウグイス」

 

ウグイス  スズメ目ウグイス科ウグイス属

Cettia diphone 全長 メス14cm オス16cm

ウグイス雄 (2013年5月14日高知県土佐郡いの町東黒森山)

春・夏の囀り「ホーホケキョ」は誰でも知っているが、「チャッチャッ」という冬季の地鳴き(笹鳴き)がウグイスだと知る人は多くない。住宅地の庭にも冬にはウグイスがやってくる。この地鳴きで気づくことが多い。雌と雄では大きさが別種と思われるほどに異なる。またいわゆる「ウグイスの色」はメジロのような派手な緑色ではなく写真のとおり地味な茶褐色である。(2016/06/12記)

うぐいす2

囀る雄 全長16cm(2011年3月18日松山市畑寺)

 

 

 

 

 

 

 

 

ウグイス3

ウグイス雌全長14cm(2010年1月1日松山市)

 

 

 

 

 

 

 

あなたは「ホーホケキョ」を聞いて何を思いますか。

「春だなぁ」「田舎だなぁ」「さすが三鳴鳥の一つ、綺麗な声」…などでしょうか。“世の中学習中”の子供さんだったら、「あれな~に?」かも知れません。年古りた私などは「うまく調整できたのかね?」と考えます。

うぐいす4

住宅地の窓辺で囀る雄(2011年3月29日松山市畑寺)

 

 

 

 

 

 

 

 

野鳥たちの「囀り」は、「お嫁さん募集!」だったり、「ここは俺の領分、誰も入ってくるな」の意味があります。

繁殖期は、自分たち家族が暮らす領域を主張して「縄張り」を作ります。家族が暮らせる「最低限の面積」の確保です。めいめいの面積が同じであれば、もっとも沢山の個体がそこで暮らせることになります。「縄張り調整」は生物界では非常に重要な意味を持っています。生態学的には『単位面積あたり最大個体数を養う機能』と言います。

ビー玉左

 

 

 

 

 

 

 

ビー玉右

 

 

 

 

 

 

 

ビー玉は、同じ大きさなので32個入っています。「俺はもっと大きな面積が欲しいのだ」とゴルフボールが1つ入ってきました。4個が追い出され、ゴルフボールを含んで29個が暮らせる世界となりました。

地球上では、すべてのものが有限です。日銀発行券もそうです。誰かが余分に取れば、誰かがその分少なくなります。あらゆるものがそうです。

アメリカグラフ2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ社会は全資産の3分の1を1%の人が、また3分の1を9%の人が、残りの3分の1を90%の人が持っている社会だと言われます(1970年台の統計)。

このように貧富の格差が当たり前、ますますその度合は広がるばかり。日本も次第にそのような状態に近づいてきました。隣近所みんな同じレベルの暮らしをしていれば、助け合いこそすれ、奪い合いなどはしないものです。

ウグイスは「ここは俺たち家族のもの、これ以上は求めないから入って来ないで」と囀っているわけです。野生生物は殺し合いをするような余分なことは致しません。ヒトは「余力」のある人が次々と現れて、「余分」のものを求め殺し合いをやめません。ウグイスなどの囀りを聞くと心痛むことの一つです。

 

模式図

 

 

 

 

 

 

 

 

ウグイスの「縄張り」の模式図(仮定)。エサや環境に恵まれていれば、面積は狭くなり、貧弱だと広い面積を必要とする(泉原作成:現地調査をすれば、実際はこの倍以上の家族群が生息しているものと思われる)。