一遍と今をあるく

ギャラリー

「ツバメ」

「大きいあ~ん、小さいあ~ん」

ある家の玄関先です。ツバメの巣作り場所として、もっとも優れた一等地です。その理由は、

1.巣が落下する恐れがありません。最近の住宅は新建材のせいで巣をくっつける場所が少ないのです。
2.外敵に襲われることのない、人の出入りの多い玄関先です。ヘビやネコ、カラスなどに食べられたりさらわれたりすることがヒナの巣立ちまでに多くの巣で起こります。
3.県道に面した、人間の生活の活発な場所です。〔2016/04/06記〕

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主に雌の親ツバメが抱卵(2013年6月17日)

ツバメ  スズメ目ツバメ科ツバメ属

Hirundo rustica  全長17cm 夏鳥

松山市での、私のツバメの「初認日」(その年初めて見た日)の記録は2016年は遅くて3月31日だった。2015年は3月21日、14年は同17日、13年は12日、12年は17日、11年は24日。

栃木県のF氏は、数十年にわたり全国300箇所余りの「ツバメの初渡来日」 の記録を取っておられる。愛媛県の平均渡来日は3月16日とされている。
鳥5
小さな口でも、親の頭が入るくらいに開く(2014年5月19日)
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エサを捕るときも、水を飲むときも水面をすくうようにして飛びながら行う。巣材を集めるときくらいしか地上には降りない。(2014年4月10日、松山市にて)
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今年、綺麗に掃除されてしまった大きな「あ~ん」(2016年4月2日)

2016年、一等営巣地に異変が起こりました。この家のオーナーが、古巣を綺麗に除けてしまったのです。糞が汚いと思ったのでしょうか。ネコやイヌが嫌いな人もいますから、トリが嫌いなのかも知れません。昔は座敷の天井の梁(はり)に巣作りさせて大事に見守ったことも少なくありませんでした。

「ツバメが営巣すると吉事がある」と多くの土地で言い伝えられています。ツバメにとって信頼できる安全な家や家主であると信じてのことですから、喜ぶべきことでしょう。子供さんの理科教育や情操教育にも持って来いの状況です。それを教えてあげたい気持ちはヤマヤマなれど、今の時代“要らぬおせっかい”と見られるのがヤマでしょう。「あ~ん」の上に「営巣始めていないかなぁ…」と横目で見ながら通り過ぎています。