一遍と今をあるく

ギャラリー

「ホオジロ」

「丁稚の頭、かちくりまわせ!」

春から夏、果樹園や開けた里山に行けば、ホオジロの囀りを聞けない日はないと言っていいでしょう。野鳥の歌を、人の言葉に置き換えて覚える方法を「聞き做し(ききなし)」といいます。ホオジロの場合、古くから「一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそろ」と聞き做されてきました。時代が変わって理解しにくいものとなったため、最近では「札幌ラーメン味噌ラーメン」などが現れてきました。宇和島のある人によると「丁稚(でっち)の頭、かちくりまわせ」と言っていたそうです。「かちくりまわせ」とは、「ぶん殴れ」という方言です。「丁稚」は死語になりつつある言葉ですが、つい50年ほど前までは当たり前の制度でした。現代の若者と職場の関係は、さてどんなものなのでしょうか。
ところで春の日のひととき、野山に出てホオジロの囀りに耳を傾け「創作聞き做し」をやってみてはどうでしょう。
例えば、「尖閣諸島であっちっち」「山本彩だ、びっくりぽん」「あっちこっち走って福袋」など、自由に妄想をふくらませて見るのも楽しいことです。
中勘助の詩『ほほじろの声』は、「ほほじろの声きけば、山里ぞなつかし…」で始まります。わが国の自然の恵みに感謝したくなる、しみじみとした詩です。
〔2016/02/22記〕

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ホオジロ♂ (2012/11/18 松山市にて)

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ホオジロ♀ (2014/02/16 松山市にて)

ホオジロ  スズメ目ホオジロ科ホオジロ属
Emberiza cioides 全長16.5cm 留鳥

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ホオジロの巣と卵 (2015/04/17 松山市にて)

ホオジロの巣は、もっとも見つけやすいものの一つである。
ただし、巣の卵に害を与えると、法律によって「100万円以下の罰金または1年以下の懲役」に処せられる。
普通、一腹4卵であるが、この巣は珍しく6卵である。