一遍と今をあるく

ギャラリー

「メジロ」

「阿呆の鳥好き、貧乏の木好き」

昔からよく言われてきたことらしいのですが、それを知ったとき野鳥の会会員としてはショックでした。ひごろから多少、自分でも変わり者ではないかとの自覚がありました。また会員の中にもユニークな人物は沢山いました。「木好き」の方はよく分かりませんが、野鳥を見ているうちに「鳥好き」が阿呆だと言われる理由が少し分かるようになりました。昔の「鳥好き」は何をしていたか? 野鳥観察(バードウォッチング)などするはずもなく、手元の鳥籠の中で鳥を飼っていたのです。毎日エサを与え心から可愛がっていたでしょう。しかし、本来自由に飛び回っているべき野鳥を、籠の中に閉じ込め、「終身刑」に処していたのです。ヒトに置き換えれば「座敷牢」です。
1980年ころまでは、メジロ、ホオジロ、ウソ、マヒワの4種の飼養が認められていました。その後順次種数を減らし、メジロを最後に2011年にはすべての野鳥の飼育が禁じられました。外国から輸入したものには、それを証明する環境大臣交付の足環の装着が必要となりました。
ごく最近まで「メジロの鳴き合わせ会」は各地で盛んでした。そのような伝統的な文化は、かつては日本人の自然に親しむ良き生活習慣だったのですが、今では多くの問題点を持つようになりました。
現代の「鳥好きの阿呆たち」は、双眼鏡を使って遠くからメジロなどを眺めて喜んでいます。

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メジロ (2015年3月2日愛媛県伊予郡砥部町にて)

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メジロ (2010年12月7日 愛媛県松山市にて)

メジロ  スズメ目メジロ科メジロ属
Zesterops japonicus 全長12cm 留鳥。

果実や花の蜜などを好む。梅や桜の満開の頃には、「チー、チー」と甘い感じの声を交わしながら採餌している群れによく出会う。